突然ですが、皆さんは”日本三大清流”と聞いて、どんな川を思い浮かべるでしょうか?会社の後輩に聞いてみたところ、「うーん、たぶん四万十川と…あと何だろう?」というリアクション。確かに、四万十川は”日本最後の清流”という肩書もあり、綺麗な川として有名ですよね。そして、岐阜を流れる木曽川も三大清流のひとつです。では、あとひとつは…?
それがここ、清水町を流れる「柿田川(かきたがわ)」なんです。
美しく透き通った清流。
柿田川は清流というだけでなく、日本一の湧水量(東洋一とも)を誇る湧水群としても有名です。湧水というと、山の奥深くでチョロチョロと湧き出して、それらが合流して次第に大きな川に…なんて姿をイメージしますよね。ところが、この柿田川は湧き出した水があっという間に幅数十メートルの一級河川を形成します。富士山の伏流水が三島溶岩流の先端であるこの地から一気に湧き出している、という仕組みなのだそうです。
もう一つ驚きなのが、これだけ膨大な湧水量を誇る清流であるにも関わらず、周囲はいたって普通の市街地だということです。柿田川の湧水群は交通量の多い国道1号線沿いにあり、その向かい側には地域随一の規模を誇るショッピングモールもあります。
週末は大いに賑わうショッピングモール。
湧水の周辺は清水町により町営柿田川公園として整備されています。芝生広場を中心に遊歩道や水遊び場など、様々なスポットが点在しています。必ずしも観光客のみをターゲットにした公園ではなく、地域住民も青々とした木々に囲まれてゆったりとした時間を満喫している様子でした。遊歩道を歩いてみると、急に深い森の中に迷い込んだかのような気持ちにさせてくれます。夏に訪れれば、きっと木陰と清流が暑さを和らげてくれることでしょう。
周辺住民の憩いの場にもなっている公園。
遊歩道からはバードウオッチングを楽しむ人も。
さて、数あるスポットの中でも特に圧巻なのは、第2展望台から見る、吸い込まれそうなほどに青く染まった湧水の姿。井戸のようになっているのは、かつて工業用水として組み上げられていた痕跡なのだそうです。実は、高度経済成長の波で一時は汚れきってしまった川を、地域の方々が努力してここまで美しく蘇らせたのだそうです。
時間を忘れて眺めていたくなります。
今回の訪問時は好天に恵まれ、鮮やかに色付いた湧水を拝むことができました。過去に少々悪天候の日にも来たことがあるのですが、その際には残念ながらあまり鮮やかに見えませんでした。皆さんには天気の良い日に訪れることをお勧めします。
駐車場の脇には観光客向けの飲食店や売店もあり、湧水に関する物品や地場産品が販売されています(私は迷わず柿田川の水で作られた日本酒を購入…)。湧水をペットボトル等に汲んで持ち帰れる水場もあり、近隣にはわざわざこの水を汲んできてスープを作るラーメン屋もあるそうです。また、柿田川の水は周辺地域の水道水としても利用されています。
散策と軽食で優に一時間以上は楽しめます。
清水町の観光拠点でありつつ、地域住民の憩いの場でもある柿田川湧水群と柿田川公園。鉄道の駅からは少々遠いのですが、自動車でのアクセスは大変良く、大型観光バスも停まれる大きな町営駐車場も併設されています。伊豆縦貫道(東駿河湾環状道路)の開通後、東名沼津ICから伊豆へ南下するメインのドライブルートからは外れてしまいましたが、わざわざ立ち寄ってみる価値はあるのではないでしょうか。