そろそろ梅雨も明けて本格的な夏が始まるなあ、今年はどんなバーベキューをしようかな…などと思いを巡らせていたある初夏の日、伊豆ライフジャーナルの編集長から贈り物が届きました。
贈り物の中身はというと、酪農王国オラッチェのチーズやバターの詰め合わせ。普段ちょっぴり贅沢な食材は購入しないケチな性分なので、リッチな非日常を体験できそうです。編集長、ありがとうございます!
酪農王国オラッチェ
酪農王国オラッチェとは、伊豆半島北部、函南町の丹那盆地(たんなぼんち)という地域にある施設で、動物との触れ合いや乳製品の製造体験などが楽しめる函南町随一の観光スポットです。この丹那という地域、あまり有名ではないかもしれませんが、実は多くの日本人が知らず知らずのうちに何度も通過しているのです。
引用:https://oratche.com/
皆さんが東京から大阪に電車で向かう時、熱海駅を出た後に長ーいトンネルを通りませんか?あのトンネルの名称が「丹那トンネル」です。丹那盆地はこのトンネルの真上に位置しているのです。
また地元で丹那と言えば、「丹那牛乳」が静岡県東部の広い地域で学校給食に採用されており、地域に根ざしたブランドとして広く認知されています。オラッチェはこの丹那牛乳を擁する函南東部農協を中心に1997年に創業され、様々な乳製品やお菓子など地域ならではの商品を展開するようになりました。いわゆる「6次産業化」の流れですね。
函南町の酪農
ところで、北海道などと比べて静岡県で酪農、というのはあまりピンと来ないかもしれません。乳牛頭数の統計によると、県内では富士宮市がダントツで1位のようです。確かに富士山の雄大な裾野で酪農をしているイメージは目に浮かびますね。そこから浜松市、掛川市、函南町と続きますが、市町人口あたりの乳牛頭数という点では函南が富士宮に次ぐ県内2位となります。
引用:静岡の畜産要覧 令和2年4月
函南町の酪農の中心が丹那盆地になるのですが、何故このように盛んになったのでしょうか?ここで丹那トンネルに話を戻します。正確には在来線が通っているのが丹那トンネル、新幹線が通っているのが新丹那トンネルなのですが、先に完成した丹那トンネルは大正から昭和にかけて掘削されたもので、多くの時間と犠牲を払った難工事として知られています。
この際、工事を阻害する湧水への対策として水抜きを行ったことから、トンネル上部に位置する丹那盆地から水が失われてしまいました。かつて丹那盆地ではワサビ栽培や稲作が盛んだったそうなのですが、水が失われてしまったことで産業の中心が酪農に移っていったという経緯があります。この出来事は現代のリニア南アルプストンネル工事問題にも影響していますね。
バーベキュー
さて、長い前置きはこれくらいにして編集長からの贈り物の話です。チーズやバターですから幅広く様々な料理に使える食材ですよね。どのように堪能すべきか悩んでしまうところですが、まずは記事の冒頭で(不自然に)触れましたバーベキューでいただくことにしましょう。
いただいたセットが盛りだくさんで、恥ずかしながら一度に全てをさばくキャパがありませんでしたので、特にバーベキューのレシピと相性が良さそうなものをピックアップすることとし、「丹那のわさびバター」と「南箱根のゴーダチーズ」を選抜させていただきました。
オラッチェの公式HPで調べてみたところ、わさびバターはお肉との相性が良いとのことなので、これは大胆にステーキでいただきましょう。せっかくなので肉も地元のものを、ということで大場駅前にある「肉のカドヤ」さんで地元のブランド牛、あしたか牛のサーロインを購入。あしたか牛は、沼津にある愛鷹山の裾野で育った地元のブランド牛です。カドヤさんはお惣菜のコロッケも有名です。
大場駅前では老舗のカドヤさん
一方のゴーダチーズは、チーズフォンデュにすることに。フォンデュするパンもこだわりたく、ハード系のパンがオススメという「TOTTEOKI BAKERY」さんでバゲットを購入しました。
ハード系のパンが評判のTOTTEOKI BAKERYさん
丹那のわさびバター
まずはわさびバターのためのステーキを調理。弱めの炭火で時間をかけてじっくり火を通します。中までしっかり火を通したのですがパサパサ感はなく、ジューシーな旨味がぎゅっと詰まっています。さすが、あしたか牛。
ジューシーさ満点のあしたか牛
では、さっそくわさびバターを付けていただきます。…うん、もうこれはわさびですね。不用意に大量につけてしまうと、かなりツーンと来ます。わさびの風味がするバターというよりも、バター要素が加わったわさびといっても過言ではないでしょう。わさびの刺激とバターの甘みが、ステーキと非常に良く合いました。
肉の余熱でとろけるわさびバター
公式HPによると、わさびも伊豆天城産の本わさびが使われているとのことで、とても本格的なんですね。伊豆の様々な観光スポットで「わさびソフトクリーム」などもよく目にしますが、わさびと乳製品は相性がよいのでしょうか!?
南箱根のゴーダチーズ
写真を撮り忘れたのですが、箱を開けると真っ赤な物体が…。品質の劣化を防ぐためにチーズをワックスで固めているそうです。なかなか上手く剥けず、少し残ってしまいましたが、まあ体に害はないでしょう。公式HPによると2ヶ月間の熟成を経てできあがるチーズで、1日の生産量は84個ほどしかない貴重品なのだそうです。
写真を撮り忘れたので公式の写真です(引用:https://oratche.com/)
いつもバーベキューでチーズフォンデュをする際は、丸いカマンベールチーズをそのままアルミホイルで包んで溶かしてしまうのですが、今回は白ワインも使って本格的に調理してみました。トロ~リまろやかに仕上がり、これでゴーダチーズの潜在力を引き出せたでしょうか。
バゲットは強めの炭火で表面をこんがり焼いて、いざフォンデュ!パンの香ばしさとチーズの甘さとの相性はバツグン。また、チーズがとても濃厚なので、バゲットに限らずどこにでも売っている普通のウインナーも非常に美味しくいただけました。
こんがりパンとチーズ、素敵な組み合わせ
番外編
編集長とは別ルートで頂戴した地元のビール、「せせらぎモヒートAle」も今回のバーベキューでいただいてみることに。ミントの風味がとても爽やかで料理にもよく合いました。伊豆の国にある「反射炉ビア」さんが、三島の「Bar Yumoto」さん、「Luca Wine」さんとコラボした商品なのだそうです。昨今さまざまなクラフトビールが世に出回っていますが、ミント風味に出会ったのは初めてです。限定商品らしいので、果たして再び巡り合うことができるでしょうか…!?
見つけたら即買いの逸品です。
まとめ
ということで、今回編集長からいただいた酪農王国オラッチェの食材でバーベキューを満喫させていただきました。オラッチェでは乳製品以外にもお菓子やビールなど、多くの商品ラインナップがあります。道の駅などでも取り扱っていますので、ぜひお立ち寄りの際には手にとってみてはいかがでしょうか。関東圏のスーパーでも丹那牛乳や関連商品をチラホラ見ることもありますので、見つけたら即購入ですね。また機会があればオラッチェのレポートもしてみたいと思います。