今回は、ITJBASE Shuzenjiの千葉 達雄 さんにお話を伺いました。
■ プロフィール
千葉 達雄 さん
2013年、伊豆における新しい旅行コンテンツの創造のため、「伊豆トレイルジャーニー」を企画・プロデュース。 伊豆市内に株式会社ソトエを設立し、 伊豆半島からアウトドアカルチャーの発信を目指している。
前編ではITJ BASEのオーナー千葉さんと施設の紹介をさせていただきましたが、今回はお店が主催するMTBのミニトリップについてレポートさせていただきます。
今回は、修善寺周辺に点在する古刹やパワースポット、観光地図にも載っていない里山の山道を巡る17キロ、約3時間の小さな旅に連れて行っていただきました。
最初にブリーフィングがあり、各々着替えてからお店の外へ。大きなMTBがずらりと並んでライダーを待っています。
MTBといっても、ただのバイクとは違います。MERIDAという有名ブランドの電動アシスト付きEMTBです。このバイクたちは田京にある同社の施設(リンク:MERIDA X BASE)と提携してお店が準備してくれたもので、中には普通なかなか乗れないウン十万円もする機材もあります。
アシスト機能やギアの使い方を一通り習っていよいよ出発。ナカハラ編集長もややぎこちない笑顔で初めて乗るMTBの感触を確かめています。この日のツアーはベテランアウトドアガイドのクララさん(本名は倉原さんですがいつの間にか皆からクララと呼ばれるようになったそうです)が案内してくれました。
クララさんは河津をベースに活動するカヤックはじめ幅広いアウトドアのガイドをされている方です。伊豆の自然に詳しく、ツアー中のルートだけでなくMTBの乗り方やコース上の植物の名前、はてはシイタケの育て方まで手取り足取り親切にガイドしてくれました。
ちょっと走るとすぐ、街並みをはずれて景色ものどかな田舎道が続きます。
途中アシスト無しの自転車だと思わず足をついてしまいそうなきつい山道も、電動モーターとMTBの軽いギアのお陰で汗粒一つ出さずにスイスイ登れます(登ってくれます)。ときどきこうして昔の石像や道標等を見ながら進みます。
5キロほど登り基調の道を走ると、修禅寺奥の院がありました。ここは弘法大師(空海)が青年時代に修行をした場所(上の写真)という伝承の地です。なるほど修禅寺は有名ですが、ここ奥の院までくる人はぐっと少なくなります。自転車でここまで自走で来るとちょっと得した気分になります。
ツアーはさらに高度を上げて、次のパワースポットを目指します。
ちょっとした河原につくと自転車を降りて野趣あふれる山道を登ります。普通自転車でこれだけの登りのあとなら足も売り切れて山道登るのはつらいはずですが、アシスト機能のお陰で元気に登れます。
そろそろきついかな、と思ったころ目的地につきました。これは、樹齢千年を数える桂大師(県天然記念物)という巨木です(根元に小さく自然に溶け込んだクララさんの姿で木の大きさがわかります)。まさにパワースポット、千年のパワーを浴びて身も心をリフレッシュします。
河原に戻りふたたびEMTBで山道を登ります。500mほどの標高を登りきってピークを過ぎてからはお楽しみのダウンヒル。
ここからはグラベル(未舗装道)です。MTBのサスペンションと太いタイヤのグリップ力を使ってバランスをとりながら坂道を下ります。初めての人もクララさんに乗り方を教えてもらいながら楽しくスリリングなダウンヒルにチャレンジします。
こんな眺めのよいところにたどり着きました。皆で写真撮影。左手奥には箱根の神山と早雲山の双子峰、そのやや右に平らな山頂の駒ケ岳が見える絶景です。晴れた日ならもちろん富士山も望めるそうです(ちなみに真ん中の赤ウエアの女性はバイク系ユーチューバーの「あい」さん(サイト:サイクルガジェットTV – YouTube))。
シイタケ畑がありました。伊豆は山葵だけでなくシイタケも名産品の一つでこの辺りでは盛んに栽培されているそうです。MTBに慣れてきた編集長もかっこよくシイタケ畑を駆け抜けます。
途中、サポートの温かいお茶やお菓子をいただいてしばし休憩をとった後、終盤はいよいよ人ひとりがやっと通れるような本当のシングルトラックが待っていました。
自信のない人にはエスケープルートも用意されていたのですが、この日は全員で山道に挑戦しました。
初心者の筆者も華麗なジャンプターンを決めながら、、というのは嘘ですが、全員ワイワイ言いながら無事に楽しく麓まで降りることができました。正直取材を忘れて本当に楽しかったです。
ゴールは修禅寺前。最後に夕方の鐘の響くお寺にお参りしてツアー終了です。
さて、修善寺トレイルの一番の魅力は「伊豆山稜線歩道」でしょう。伊豆半島中心の天城峠から修善寺郊外まで約45kmの自然豊かな丘のような笹尾根の道です。そこは眺望を遮るものもなく、晴れた日には歩きながら相模湾越しに富士山を望む、ここでしか見られない絶景を堪能できます。このコースはアルプスや八ヶ岳などの主要山域が雪で覆われる冬でも、少しの装備で初心者でも楽しめる点でも魅力です(ただし、遮るもののない分、雨や風の強い日は注意が必要。なおMTBでの走行に関しては自転車走行が許可されている道かお店などで確認の上、またトレイルから外れて植生を破壊しないよう十分注意しましょう。)。
(伊豆山稜線歩道。目指すゴール方向にはいつもマウント・フジが。どこまででも行けそうです。)
週末、この景色をハイク、ランニング、MTBで楽しみたいと思ったら、金曜夜にITJBASEに泊まり、翌日早朝にバスか送迎の車で出発点の天城峠か舩原峠まで送ってもらい、だるま山方向に北上して修善寺をゴールにするのはどうでしょう。道標はしっかりしているし、トラブル時も平行する道路(西伊豆スカイライン)にエスケープできるので山の初心者でも安心して一日楽しめると思います(ただし、山の最新情報は事前に入手しておきましょう)。気が向いたら、初日はトレイル、2日目はMTBなど、いろいろなメニューを試してみるのも楽しそうです。お店では提携先からバイクレンタルもしてくれますので、ちょっと山道走りを経験してみたい人にはお勧めです。一日が終われば近傍の筥湯で汗を流し、お店に戻って地ビールで乾杯すればあとはいうことはありません。
最後に、ちょっと固い話になりますが伊豆地方は静岡県の東部地域スポーツ産業振興協議会等を通じてスポーツ産業を通じた地域振興を図っています。ITJBASEもその一環を担う施設として期待されていると思います。地域振興には集客力の向上もさることながら、地元の人々の理解と協力がやはり欠かせません。アウトドア愛好者の中にはともすれば自分たちだけで楽しんでしまうきらいもありますが、それでは地域振興としての持続性はありません。伊豆の一般(特に観光関連以外の)の住民の方々にもアウトドアの楽しさを一緒に交流体験していただくなど、より地に足のついた活動の発展に繋がっていけたら素晴らしいことだと思いますし、この地の素晴らしいアウトドア資源はそれを可能にする素地が十分にあると思います。まずは自分もまた必ず体験してみたいと思います。
(了)
■ 会社・店舗案内
ITJBASE Shuzenji
TJ BASE Shuzenjiは伊豆半島のアウトドアツーリズムの旅の拠点として、築48年の建物をリノベーションしたカフェ&ゲストハウスです。 「新しい伊豆の旅の創造」をコンセプトにしたトレイルランニングレース・伊豆トレイルジャーニー(ITJ)の初めての施設として伊豆最古の温泉地修善寺温泉を伊豆半島のアウトドアスポーツ、自転車の旅の拠点を目指しています。 もちろん、修善寺温泉の中心地の立地はスポーツ利用以外の方の旅の拠点としても最適です。
〒410-2416 静岡県伊豆市修善寺955-1
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