今回は、青木工務店の萩尾 聡子 (はぎお さとこ) さんにお話を伺いました。
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はじめに
住宅の新築やリフォーム、店舗の改装や工場のメンテナンスを手掛ける青木工務店さん。創業はなんと大正10年という百年企業。ホームドクターとしての親身で地域に密着した姿勢と、地元産を中心とした木材をふんだんに使った温もりを感じる施工が印象的な工務店さんです。【後編】
前編はこちら↓
木のぬくもりを活かした工事
パンフレットやホームページに載っている写真はとても特徴的ですね。
これは自宅なんですが、撮影した当時はブランコになっていて、その後は登って遊べるようなロープに変えたりしました。リビングも自然素材のものを使っていますので、年月が経った後の風合い等の変化もお客様に見せられるように、自宅をショールームとしても使っています。
印象に残っている施工例はありますか。
たずさわらせていただきましたお客様は全て思い入れが深いのですが、住宅ですと、2階建てのお宅の2階部分を全て減築し、平屋建てにするリノベーション工事をさせていただいた際に、思い入れのある建具や欄間等再利用させていただいたことで、とても喜んでくださったことが印象深いです。
店舗の例ですと、三島のワイン専門店さんを改装させていただいた時は、レジのカウンターにワインの樽に使うオーク材を使ったり、ウォークインワインセラーの中にあるワイン用のラックもオークの一枚板を使ったり、材料のルーツを考えながら作らせていただきました。
源兵衛川のすぐそばにあるカフェでは、友人にデザインしてもらい、山桜の無垢の一枚板を使ったり、三島は富士山の溶岩流で有名なので、それをモチーフとして溶岩を材料として使ったりしました。他にも修善寺のお店では伊豆の地元の製材屋さんが取り扱っている天城の杉やヒノキを使ったり、お店の雰囲気に合わせて古材のガラスも使わせていただき、材料にこだわって施工させていただきました。
今後の事業展開について
どのような事業に取り組んでいきたいとお考えでしょうか。
アップサイクルという言葉もありますが、古材(こざい)を使った事業を拡大して行きたいなと思っていまして、古い建具を集めています。ガラスや建具等が集まってきましたので、住宅のリフォームや店舗で使っていただけるといいな、と思っています。
古材自体は解体屋さんからいただいたりするのですが、古材を使って仕事をするために古物商許可も取得しています。古材は寸法も今の規格には合っていないものが多く、補修やリメイクも必要です。例えばドアであれば下の戸車を交換したりとか、昔の建具だと背が低いので高さを調整したり、といった加工が必要になってきます。
環境に優しい事業を始めようと思ったきっかけはあるのでしょうか。
長野県の諏訪湖の近くに、ReBuilding Center Japanさんという会社さんがあるのですが、古材等がきれいに並べられてあり、カフェもあるとても魅力的な場所で、その活動がすごく素敵でいいなあと思いました。そんなときに、ちょうど近くの古民家の解体現場で古い建具があるからと解体屋さんに呼んでもらい、使われないと処分されてしまう手の込んだ細工のある建具や素材などをみて、なんとか活かして使えないものかと思いました。それをきっかけに資源の有効活用という取り組みをしていけたらと思いました。
おわりに
木材の違いによる特徴などをスラスラと淀みなく解説される萩尾さん。材料へのこだわりや建築への強い思いがひしひしと伝わってきました。古材を活用し環境にも配慮した新しい取り組みも、これからの世の中にきっと広く浸透していくのだろうなと感じました。
■ 会社・店舗案内
青木工務店
三島市南二日町1-28
https://aoki-homedoctor.co.jp/
055-975-5156