今回は、循環ワークスの山本 広気 さんにお話を伺いました。
さば節工場をリノベーションして、環境系のワークショップの開催や、廃材の再流通などを行う施設「循環ワークス」が沼津に新たにオープンしました(令和2年11月8日にプレオープン、令和3年3月に本格オープンを予定)。
プレオープンのイベントに参加させていただき、さば節工場を購入して自らリノベーション工事を行い、持続可能な社会に向けて邁進する山本 広気さんに、「循環ワークス」をオープンしたきっかけや想い、今後やりたいことなどをお聞きしました。
自分ができることをやるしかない
「循環ワークス」を作ろうとしたきっかけは?
22歳から8年間ぐらい旅人でアメリカやメキシコ、ペルーなど海外を回っていました。僕は映像作家が本業で、アメリカには映像制作の勉強のために、もう10年ぐらい前ですけど約5年間住んでいました。当時のアメリカではオーガニック食品が日常的に売られていて、環境に対して意識が高い方もたくさんいたので、関係の知識をどんどん深めていきました。
その後、日本に帰ってきたら、あまりにもギャップ。オーガニック野菜なんかどこにもないし、逆にJAS認定を取らないとスーパーで販売できないので、無農薬野菜を作っているけどJAS認定を取るお金がない人は売れない・・・。こういうのって、おかしいなーとずっと思っていて。とにかく海外を旅していて、海外で感じたことが日本では非常識すぎて、すごく気持ち悪かったし、いやだったんですよ。
結婚したこともあり、ちょうど3.11の震災もあったので、変えるしかないと思って。国会議事堂前に行って反対だけしていても変わらないので、だったら自分ができることをやろうと思いました。
始めから「循環ワークス」の開設に取り組んだのでしょうか?
最初は、山本電力「やまでん」という、電気を自給する活動を始めました。自給する仲間を増やしていくための取り組みで、太陽光発電をするための太陽光パネルなどを組み立てるワークショップを開催したり、イベントで移動式太陽光発電機を利用したり。実際に太陽光発電を使ってみることで、イベントなどに参加してくれた方の意識が変わると思って。
「やまでん」の活動で自信がついてきたら、次は、みんなで継続的に環境のことを考えられる場所が欲しくなって「循環ワークス」の開設に取り組みました。
人とモノを循環させたい
「循環ワークス」とはどのような施設ですか?
一番目指しているのは、持続可能な社会です。人とモノを循環させて、より良い地球を作っていきたい。「循環ワークス」には、環境に関するワークショップができるコミュニティスペースや、オーガニック食品を使った料理が食べられるキッチンなどがあります。廃材などの販売も行います。実は「やまでん」の技術も活用し、施設内の電力は、廃棄されていた太陽光パネルとバッテリーを使って太陽光発電でまかなっています。
環境というと「モノ」の循環を思い浮かべますが、「人」の循環とは?
「循環ワークス」という場を作ったのは、みんなに横のつながりを増やしてもらいたいんです。会ったことがない人がここで出会って、新しいつながりができて、みんなで環境を考えながら取り組んでいきたい。モノだけじゃなくて、やっぱり人の意識が変わらないと、環境は変わらないのかなと思っています。
さば節工場を自分たちでリノベーション
リノベーションの作業は大変だったのでは?
さば節工場は、実は破格の値段で購入したんです。5年ぐらい前から物件を探していたのですが、高いものばかりでなかなか見つからなくて。ここは、以前のさば節工場の荷物が残っていて雨漏りもしていたので、なかなか手を付ける人がいなくて。なので、残置物の撤去や積もったホコリの掃除、屋上の防水工事のほか、ペンキでの塗装など、本当に大変でした。
もちろん1人ではできないので、週末などには近所のサポーターの方に手伝ってもらいました。でも、平日は、用事がない限りは毎日、僕1人で作業。工場を購入したのが令和2年の1月14日で、今日のプレオープンがちょうど300日目なんです。でも、プレオープンと言っても施設は完成じゃなくて、まだ雨風がしのげるという段階。これから、廃材を活用するワークショップなどをやりながら、みんなでリノベーションを進めていきたいです。
-大変な作業を続けられる原動力は?
とにかく気持ちですね。大変というよりも、やりたいという気持ちの方が強くて。嫁にも言われるんですけど、僕、動物みたいで、思ったらそこに突き進んで、周りのことが見えないタイプ。だから、映像の仕事が本業だけど、どっちつかずになりたくなかったので、今は、「循環ワークス」をきちんと仕上げたいです。
自分たちの好きな社会を自分たちで作る
「循環ワークス」の今後のスケジュールは?
今日はプレオープンのイベントを開催していて、本格的なオープンは来年3月を予定しています。今後は、まずは週3回程度オープンをして、古材、古物の販売やワークショップなどを行う予定です。
お百姓さんって、「百」の「姓」があるぐらい多くのことができるって言われているみたいなので、ワークショップも「百姓ワークショップ」といった名前にして、100個のワークをやりたいです。今日のプレオープンのイベントでは、間伐材を使ったスプーンづくりのワークショップをしていますが、竹かごを作るワークとか、味噌作り、古布で裁縫、木を切るとか、そういうものをどんどんやりたいです。
「静岡オーガニックフェスティバル」というイベントを2年前から開催していて、僕はその実行委員長もやっているので、オーガニック商品を販売するお店など、県内のたくさんの事業者さんともつながっています。そういう方に講師をお願いするなどして、この場を活性化させていきたいです。
今後、取り組んでいきたいことは?
とにかく、この場をどんどん活用しながら、人とモノを循環させていきたいです。まずは近所の方にたくさん来ていただいて、つながりをどんどん広げていって、自分たちの好きな社会を自分たちで作っていきたいです。
■ 会社・店舗案内
循環ワークス
静岡県沼津市我入道浜町308
http://junkanworks.com/