8月17日(水)、most8092で地域のことをざっくばらんに話す【語る編】の第1回目を開催しました。
参加メンバーは、燕舎の勝野さん、人力車の島川さん、修善寺で起業予定の榊原さん、MATOMETOライターの仲原です。
まずは、お互いの近況報告。特に人力車の島川さんには修善寺温泉の困りごとがたくさん寄せられているようで、その相談事も多岐にわたり、地域課題の縮図のよう。
一方で、地域に根差したデザイナーで燕舎のオーナー勝野さんの所にも、地域の方からの様々なご依頼が盛りだくさん。
特にお寺さんの『紋』のデザインを依頼されたお話にはびっくり!今後何百年と使い続けられるであろう『紋』をデザインするなんてさすが勝野さん。
歴史や文化などの背景を徹底的に調べる勝野さんですから、すばらしい作品に仕上がることでしょう。
こちらのお寺さんのお話はまた別日で取材予定ですので、お楽しみに!
地域の課題とは
地域課題とは、人口減少、少子高齢化、都市部への人口集中による地方の過疎化などから引き起こされる様々な課題を指します。
人口減少、少子高齢化は日本全体の問題点となっていますが、それらの問題を引き金に、地域においてはそれぞれの地域特性に影響され、その地域独自の問題へと発展していきます。
地域の特性には、地理的なものもありますし、産業的なものもあるでしょう。
伝統、文化、地域の慣習なども大きく影響してきます。
地域課題は地域色が色濃く出るため、他の地域の方から見たら首をひねるような問題もあるかもしれません。
例えば、おみこし問題や共同浴場問題など。
おみこし問題は、お祭りのときにおみこしを担ぐ人手に困る問題です。
おみこしを担ぐ人手がないなら、辞めちゃえばいいじゃない、とか、隣の地区の人に人手を頼めばいいんじゃない、とか考えがちですが、地域の方々にとっては死活問題なのです。
また共同浴場問題は、共同浴場の運営を続けていくためには利用者を増やして収益を上げなければならないのですが、毎日利用する人からすると混雑するのであまり利用者を増やしたくない、というパラドクスです。
この問題に対しても、じゃあ、開放しなければいいじゃない、とか、経営難なんだから少しくらい我慢しなきゃ、とか言いたくなります。
このように、人口減少、少子高齢化という問題は、歴史ある温泉街的地域をくぐると、おみこし問題や共同浴場問題として出現してくるのです。こんなことを地域の外にいる学者やAIに予測できるでしょうか?
地域にだいぶ首を突っ込んでみなければ、問題の本質が理解できない難題ばかりが山積している、それが地域課題なのです。
地域課題とは一朝一夕に理解できるものではなく、ましてや解決できるものでもないのです。住民の感情を慮り、多くの人の意見を分け隔てなく聞き、自分ゴトとして取り組む覚悟が必要なのです。(言い過ぎました)
地域の課題は地域で
このように地域課題は、その地域をくぐって出現した独特な問題が多いため、自治体よりもさらに小さな単位での対処が必要です。
その地域課題を解決する可能性を秘めた存在が「地域の事業者」であります。
地域課題を解決する事業を始める事業者に対して補助金を支給する制度も充実してきています。
参考(ちょっと古いですが、2021年5月14日 J-Net21 中小企業NEWSより)
秋田、福島、茨城、静岡、岐阜、京都、島根、岡山、山口、香川、長崎、大分、宮崎、鹿児島の14府県は、地域課題の解決に役立つ起業を支援する補助金・支援金の公募を相次いで始めた。IoT、AI、ロボットなど付加価値の高い産業分野で事業継承・第二創業する人も対象とする県もある。
補助対象事業は、各府県が定める地域活性化関連や農業振興、医師不足対策、買物弱者支援、地域交通支援、子育て支援などの分野で、地域の課題解決に資する社会的事業。
※一部の補助金は、令和4年度も引き続き募集されています。最新情報や詳細は別途、調べてみてください。
https://j-net21.smrj.go.jp/news/tsdlje000000sytc.html
静岡県の施策
静岡県では、「地域創生起業支援金」という制度が用意されています。
※2022年8月18日現在、募集は終了しています。
http://www.ric-shizuoka.or.jp/shienkin/
加点対象にも
また、小規模事業者持続化補助金では、パワーアップ型加点「地域コミュニティ型」で地域課題を解決するサービスを行う取り組みに対し、加点をつけています。
地域コミュニティ型
地域の課題解決や暮らしの実需に応えるサービスを提供する小規模事業者による、地域内の需要喚起を目的とした取組等を行う計画(小規模事業者持続化補助金 公募要領より)
MATOMETOにできること
地域住民発のWEBマガジンであるMATOMETOが地域課題に対してできることはなんでしょう。
そもそも地域課題は、カテゴリーが多岐にわたりすぎていて、最適解を導き出しづらい問題です。
さらに、問題に直面している地域住民も限られていることが多く(例えば、おみこし問題ではおみこしを担がなくてはいけないグループの問題、共同浴場問題では共同浴場を使っている人たちの問題)、なかなか表面化しづらい問題であります。
しかし、困っている人は確実にいて、放って置くと取り返しのつかない事態に発展してしまう何ともややこしい問題です。
地域のメディアを目指すMATOMETOにできそうなことは、この複雑怪奇(怪奇w)な地域課題を記事にして、地域のみなさんに共通課題として認識してもらう、ことではないでしょうか。
同じ修善寺温泉に住んでいても、おみこしに関係ない班の住民はおみこし問題の存在を知りませんし、共同浴場を使っていない人は共同浴場論争があるなんて夢にも思っていません。
MATOMETOが地域の住民の中に入ってそれらのミクロな問題を記事にする。
そんなに深刻にならず、他の地域の方にくすっと笑ってもらったり、自分ゴトとして捉えてくれた誰かが一肌脱ぎたくなるような(例えば力自慢がおみこしを担ぎに来てくれるとか)そんな記事が書けたら、唯一無二のコンテンツになりそうな気がします。
MATOMETOにまた別の可能性が見えてきた夜。
そろそろお開きにしようかと思ったところに、most8092の大家さんが取れたて野菜を差し入れしてくれました。
most8092は開かれた雰囲気のよいスペースです。今後もコンスタントに語る会を開催していきます。ゆくゆくは、飲み物や食べ物を提供しながら、通りすがりの地域住民や観光客とも一緒に修善寺温泉を語り合いたいな、と思っています。