今回は、修善寺醤油株式会社の西島 孝 (にしじま たかし) さんにお話を伺いました。
さまざまな食材を使った商品づくりに取り組む修善寺醤油さん。後編では、西島社長の商品開発のヒントや商品づくりへの想いをご紹介します。
年間どれぐらい新商品を出しているんですか?
市販品は年間2商品ぐらいです。業務用の商品開発や他社向けのOEM商品の開発もあるので、市販品だけに時間をかけるわけにもいかないんです(笑)。商品開発は、社長の私が一つひとつ手掛けています。
▶しいたけディナーソース
「細かく刻んだ伊豆産しいたけと、香味野菜の旨味がきいたとろみのある甘辛ソース」
しいたけソースがけ『伊豆産しいたけバーガー』
商品開発で苦労したことはありますか?
今は廃番になっていますが、アボカドのドレッシング。
時間がたつと、どうしてもアボカドの緑色が茶色に変わってしまう。いろいろ試してもなかなかうまくいかない。試行錯誤しながら、食品添加物をうまく合わせることで、最終的に解決できました。
アボカドドレッシングに限らず、どんな商品でも味の調整にはすごく時間がかかります。
これからチャレンジしたい商品はありますか?
復活させたい商品として「塩だれ」。実は、だいぶ前に一度、手掛けたんですが、発酵して膨らんでしまうなど、課題がありました。当時は、自身の商品開発の知識も乏しかったので、うまくできませんでしたが、今なら再チャレンジしたいですね。
(株)伊豆・井田塩研究所さんと組んだ「塩ポン酢」など、コラボ商品も多いのでしょうか?
他社と組んだ商品開発もいろいろなケースがあります。
こちらから声をかけたり、相手方から声をかけてもらったり。
例えば、ある団体からは地元の野菜や果汁を持ってきていただいて「これで何か作れないか」とご相談を受けることもあります。
「えー」とびっくりすることはありますが、そこからアイデアを考えます(笑)
商品のアイデアはどこから出てくるんですか?
与えられた食材から「柑橘系なら、これとくっつくかな」とか「緑色系の野菜であれば色が変わるな」とか、過去の商品開発の経験から考えていきます。
普段から、サンクゼールさん、カルディさん、ジュピター珈琲さんなどのお店に置いてある商品は気にしています。遠出したときには、お土産屋さんを覗いてみて変わった商品がないか、気にかけるようにしていますね。
これからどんなビジネスをしたいですか?
周りからは「会社を大きくして、生産体制を強化できないか」といったご提案もよく受けています。
将来的に「従業員を増やして、会社を大きくして」という気持ちもありますが、それよりも「他の企業とのつながりを増やして広げていきたい」と思っています。
例えば、OEMの商材を受注するときに、自社だけで対応できなければ、「日本の東側は自分たちで、西側は提携会社に」とエリア分けをして、商品を展開することもあります。自分たちのような中小規模の醤油会社は、厳しいところも多いので、提携することで互いにウィンウィンになれるのが理想です。
商品開発にしても、大手企業がいるので、具材が豊富なドレッシングとか、大手の商品ラインナップが少ない、ニッチな分野を狙いたいですね。
最後に、西島社長にとって「商品づくり」への想いを聞かせてください。
自分でも料理をするので「料理をおいしく食べられるように」という想いですかね。
野菜や魚が嫌いな子どもでも、ドレッシングをかけることで、野菜や魚が食べられるようになってくれたらと思います。子どもたちがおいしく食べてくれたら、それだけでうれしいですね。
インタビューを終えて
インタビューでは終始、笑顔を絶やさない西島社長。取引先やお客さんへの感謝の気持ちを忘れない、謙虚な姿勢が印象的でした。
地元から「この野菜で何か作ってほしい」といった相談は、西島社長の発想力への期待はもちろん、パートナーとして厚い信頼を受けていることを感じます。
「調味料で料理をおいしく食べてほしい」という想い。
修善寺醤油さんの商品開発の源泉にある気がしました。
おわり
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修善寺醤油株式会社
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