今回は、有限会社盛田屋の鈴木 八千代 (すずき やちよ) さんにお話を伺いました。
国内では珍しい「天日塩」や、こだわりの「ところてん」などを製造・販売する「盛田屋」さん。国道沿いでお店の看板が目を引き、立ち寄りたくなる店舗です。お店の鈴木八千代さんにインタビューして、商品のこだわりや特長、想いなどをお聞きしました。
「本物を作りたい!」、自慢の「天日塩」
お店の主な商品を教えてください
盛田屋は、西伊豆の駿河湾の近くで、原料や製法などにこだわり、太陽の熱と風の力だけでつくる「天日塩」や、コシの強さが特長の「ところてん」などを製造・販売しています。ほかにも、塩を使った熱中症予防の塩玉や塩羊羹などもあります。
天日塩を作り始めたきっかけは
うちは平成10年ぐらいから天日塩を作り始めたんです。昔は、専売法があり、たばことかお酒とかお塩とかはみんな専売公社が売っていた。それが、平成9年に専売法が撤廃され、お塩の製造・販売が自由にできるようになったんです。
でも、最初はどうやって作ったらよいかわからないので、当時、うちのお父さんが全国をまわって、各地で作っている塩を勉強したんです。塩の作り方と言っても様々で、天日で長期間かけて作ったり、海水を熱して数日ぐらいで作ったり。結局、時間はかかるけど、天日のお塩が身体に良いので、「本物を作りたい!」という想いで「天日塩」を作り始めました。
カルシウムが通常のお塩の6倍から10倍
盛田屋さんの天日塩の特長を教えてください
ミネラルが豊富な駿河湾の海水を、太陽の熱と風の力を使って完全手作りで「天日塩」にしています。
特長は、身体に良いカルシウムが通常のお塩の6倍から10倍含まれています。実は、国内のいろんなお塩を入手して、専門機関に検査してもらったら、うちのお塩のカルシウム量がダントツに多かったんです。
なぜ、そんなにカルシウムが多いのでしょうか
お塩は天日でなくて、炊き上げても作れるけど、炊き上げて熱を加えると、カルシウムは少なくなってしまうんです。
あとは、栄養が豊富な駿河湾の海水を使っているからですかね。
海の栄養のためには、海がキレイなだけではダメなんです。結局、山が大事。山の落葉樹が落ちて、腐って、その養分が川をつたって海に流れてくる。
駿河湾は透明度も高く、富士の雪解け水や、天城の清流など多くの川が流れ込んでいるから、ミネラルなど栄養が豊富なんです。
8か月もかかる手作りの天日塩
天日塩はどうやって作るのでしょうか
駿河湾の海水を汲んできて、まず、施設の中で循環させたりして、2.7%程度の濃度の海水を12%ぐらいまで濃くするんだけど、それに4か月ぐらい必要。
その後、ハウスに入れて塩を結晶させ、最後に脱水機みたいなのにかけ、さらに粉砕機で細かくすると出来上がり。それにも4か月ぐらいかかるので、商品になるまで全部で8か月ぐらいかかります。
夏の時期は日光が強いから7か月ぐらいでできることも。年に2回ぐらい取れればラッキーじゃないかな。それぐらい貴重なお塩なんです。炊き塩だと数日とか10日間ぐらいで作れるので。
国内で天日塩を作るのは7か所ぐらい
国内で天日塩を作っているのは、どのくらいあるのでしょうか
天日塩を作っているのは、本州ではうちと能登半島の珠洲市の2か所だけ。あとは、四国、大島に1か所ずつと、沖縄の離島に2か所。もう1つぐらいはどこかで作り始めたという話も聞くから、国内では7か所ぐらい。
時間がかかるので、天日塩を作る人はほとんどいないです。日本全国の海に面しているいろんな場所でお塩を作っているけど、採算の面から炊き塩が多いですね。うちのお父さんは、作ることに対してはものすごく貪欲だったんです。職人ってそうなのね。
実は、私も沖縄の粟国島や伊平屋伊是名など、お塩を作っているいろんなところを勉強に見に行ってきました。粟国島に行ったときは、7・8人しか乗れない小さなプロペラ機に乗ったんですけど、それがすごく怖くてね。伊平屋伊是名に行った時は、那覇に泊まって1日1便のフェリーに乗るわけなんだけど、海がものすごく荒れて、私は船に弱いから大変な想いもしました(笑)。
本州の能登半島の珠洲市はまだ見に行ってないので、行きたいなーと思っています。
天日塩の楽しみ方!
天日塩におススメのお料理は
おにぎりにしてみると答えがわかる。食べ比べると味が違います。よくお客さんからは「お塩が甘い」って言われ、買っていった人はまた買いに来てくれたりします。
この前来たお客さんは、「高いけどせめてもの自分への贅沢」と言って、全部で3万円ぐらいの塩を買っていかれました。うちの天日塩を使って梅干を作るみたい。このお塩でつくった梅干は全然味が違うって言ってました。それで身体にもいいでしょ。
お料理以外の使い方としては、最近、熱中症予防で運動している子供たちがイオンの入ったポカリスエットみたいなのを飲むでしょ。そうじゃなくて、普通のお水にうちの天日塩を入れて飲めば、甘味はないけど、身体には良い。ポカリスエットだと甘くていやだという人もいるので、そういう人にもおススメです。
国内で7か所ぐらいでしか作っていないとは、本当に貴重なお塩ですね。おいしくて、しかも栄養が良いとは、お客さまには嬉しいこと尽くしですね。
(後編は、こだわりの「ところてん」のご紹介をします)
■ 会社・店舗案内
有限会社盛田屋
西伊豆の駿河湾の近くで、原料や製法などにこだわり、太陽の熱と風の力だけでつくる「天日塩」や、コシの強さが特長の「ところてん」などを製造・販売しています。
〒410-3303 静岡県伊豆市八木沢1297
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