今回は、伊豆市在住の有城 利博さんにお話を伺いました。
■ プロフィール
有城 利博 (ありしろ としひろ) さん
ありしろ道具店 代表
福井県出身。 新潟で家具づくりに従事し、2005年に伊豆市に移住。森林ボランティアのNPO法人に参加。時松辰夫 アトリエときデザイン研究所代表に師事。2011年にNPO法人解散後、同年7月にありしろ道具店を設立。椀、皿などの木の器、はし、スプーンなどの木のカトラリーの製造販売。修善寺温泉街の活性化に取り組むNPO法人コトコト企画室 監事。
移住・創業のきっかけは「研修生募集」の案内から
伊豆で事業を始められたきっかけは、何だったんですか?
15年前に伊豆の間伐材を使って食器などをつくる森林ボランティアのNPOが立ち上がりました。そこで、師匠となる時松師匠(現在は湯布院で活動)が研修生に教えていました。私は、NPOが立ち上がって2年目に「研修生募集」の案内をたまたま見て応募したんです。
それまでは新潟の家具屋で働いていたんですが、毎日の生活に使うようなものを作りたいという思いがあったんです。なので、伊豆市にきたのは、たまたまなんです(笑)。
その後、2011年の東日本大震災があってNPOが解散。どうしようか考えましたが、最終的に自分を含めて残った3人で、今までの工房をシェアして働くことを決めました。このときに個人事業主として、ありしろ道具店を開業したんです。
たまたま見かけた「研修生募集」の案内がきっかけで、伊豆市で事業を始めることにつながったんですね。どんな木工品を作っているんですか?
伊豆の木を材料にした皿、椀やスプーンなどの食器ですね。
伊豆の山林で取れる間伐材とか台風で折れてしまった木材を使っています。製品を作るために木を切るようなことはしていません。
材料となる木材は、原木から加工するようにしています。原木を使うと、木材を乾かすのに1年とか、手間はかかるんです。加工された市販の木材を使えばいいんですけど、材木屋で流通していない木材もあったりしますし、何より地元の原木を使うという時松師匠の教えがあるからです。
一つひとつの商品がオリジナル
手間をかけてでも、伊豆の間伐材を活用することにこだわりがあるんですね。作られた食器等は、どこで販売しているんですか?
修善寺温泉街では、あさば旅館やギフトショップの燕舎などに置かせてもらっています。飲食店などの業務用は、お客さんの要望に合わせた注文品が多いです。飲食店の場合は、同じもので20セットとか30セット欲しいと言われても、材料の確保が大変。形や種類の違う間伐材を利用しているので、大量に同じものを作りにくい。
個人の方でも贈答品としても選んでいただいています。一度、購入された方は、リピートしてくれることが多いですね。
他にはクラフトフェアに出展したり、木材加工の体験ができるワークショップを開いたりしています。
ネット販売はしていません。お客さんには伊豆の木のことなどを話しながら買ってもらえることを大切にしています。それと、同じ種類の商品でも一つひとつ違うものなので、木の感触を手に取って感じてもらってから買ってほしいと思っています。
そういった活動を通して、リピーターが増えたり、口コミで広がっている感じがしています。