新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、緊急事態宣言が延長されている。
「IZU LIFE JOURNAL」のライターさんはみなさん首都圏にお住いのため、なかなか現地での取材が実現せず、毎月の定例会では記事の更新に頭を抱えている。
そんな閉塞感漂う当プロジェクトだが、取材が出来ない中で更新されたまえだかつさんの記事が目に留まった。
伊豆の名物であるわさびをお取り寄せし、「わさび丼」を作ってみるという記事だ。
なるほど、これならおうち時間で日常で伊豆を感じてもらえる。
こちらの記事からヒントを得て、伊豆在住の私からゲリラ的に伊豆のものをライターさんに送ってしまおう!
そして、私からの届け物を受け取った人には強制的に記事を書いてもらおう!
という何とも乱暴で横暴な企画を思いついた。
ということで、第1回目のお届け物を調達に土肥温泉まで行って参りました。
土肥温泉
土肥温泉は、伊豆市の西側に位置する海と山に囲まれた風光明媚な温泉である。
熱海や伊東などの東伊豆に比べ、西伊豆は電車が通っておらず、交通の利便性が低いため、なかなか渋めの雰囲気を醸し出している。
ただ、伊豆でのんびり、ひっそりとした生活を送るなら断然「西伊豆」と根強いファンが一定数いる魅力的な地域だ。
西伊豆の最大の魅力は夕日なので、その魅力からも渋めのセンスがうかがえることだろう。
今回は、この土肥温泉で私が愛用しているある商品を購入しにやってきた。
そちらの商品についての紹介やレビューは届いた方にお任せしたいと思います(無茶ぶりですね…)
商品調達後、子どもと二人で松原公園をぶらぶら。
松原公園に隣接している「土肥特産市ありがとう」では、お店の人々が忙しそうに白びわを選別していた。
あたりを見回すとあちこちに生えているびわの木にはたわわに白びわが文字通り鈴なりになっている。
白びわは土肥温泉の名産品である。
甘くて、美味しい幻のびわ!!静岡県伊豆市の土肥地区で主に栽培されています。
普通のびわと比べると果肉が白っぽく、甘み、酸味のバランスが絶妙!その風味は他に類を見ません。白びわは全国で土肥地区にしかなく、現在では一部の農家でしか生産されていない稀少品です。収穫時期は5月下旬~6月上旬頃の約1~2週間と短い上、実がたいへん傷つきやすく変色しやすいため市場に出ることがほとんどなく、なかなか味わうことのできない幻の果実です。
伊豆市観光情報サイト
http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=3162
という何とも希少価値が高そうな代物である。店内をうろうろしているとひときわ大ぶりの白びわが1kg400円で売っていた。
通常価格は、10個ほどのパックで700円ほど。
お店の人に聞くと、皮が爆ぜて亀裂が入ってしまったもののようである。
「そのまま食べてもいいんだけど、売り物にはならないからね。調理すれば気にならないから、ジャムにしてみたら?」
とアドバイスを頂いた。
私自身は無頓着な人間であるので、多少皮が爆ぜていようが、色が変色していようが一向に気にしないタイプである。
「なるほど、ジャムですね。ふむふむ」
と格好つけながら、1kg400円の大量のびわを購入した。
ジャムを作るふりをしてみたが、そんな面倒なことをこの私がするはずもなく、そのまま食べようと思っていた。
白びわ
伊豆は比較的びわが生えているお宅が多く、おすそ分けをもらうことが多いのだが、当たり外れがある果実であるというのが私の印象である。
果物の女王とも称される(私が称しているだけ)絶妙なバランスの甘酸っぱさと芳醇な香りを放つものもあれば、まるで精製水のような無味なものもある。
これは年によってもあたりはずれがあるようだ。
家に帰って白びわを洗ってもくもくと食べた。
皮をむく手間のわりに、種が大きく(おそらく全体の8割は種であろう)、作業量に見合わない果実であるが、その果実は本当にどの果実よりも芸術的な甘酸っぱさを誇っている。
びわというものの魅力を語るならば、手間ひまかけて皮をむき、まるで種を守るためだけにあるようなクッション材のようなほんの少量の果実を口にする、という高尚な行為そのものであろう。
最初の10個くらいはその手間と神秘的なおいしさに皮をむく手も止まらないが、味が濃いため、20個も食べると何だか現実に引き戻されてしまうのだ。
なんか無我夢中になってアリクイのようになっているな、と。
ということで、残りのびわはレモン酒の中に放り込み、あとは酒の神様にびわの運命を委ねた。
傷ついているびわはより一層傷みやすいのだ。お酒にするより仕方ない。
白びわを洗い、酒のビンの中に放り込みながら、この白びわでジャムを作ったら本当においしいんだろうな、と想像していた。
だけど私はパンをあまり食べないし、そもそも料理をしないし、お酒にするのが一番いい気がした。
もし、まめに料理をする「朝はパン派!」の方がいたら、ぜひ5月の土肥温泉に来て、皮が爆ぜた大ぶりの白びわでジャムを作ってみるといいと思う。
本当に土肥の白びわは世界の果実の中で一番味が濃くて、芸術的な甘酸っぱさなのである。
傷みやすいのでこちらはお送りできないのが残念だ。3か月後に白びわ酒が出来たらライターさんたちにふるまいたいと思う。
それまでにコロナが終息していることを本当に心から祈っている。
ということで、明日、第一弾のお届け物を発送いたします!
ライターの皆さん、ドキドキしてお待ちください!