今回は住んでいる山の方のエリア桂谷地区から1.5kmほどの場所の修善寺温泉の観光の中心、修禅寺の行事のレポです。
修禅寺|伊豆市修善寺|曹洞宗 (shuzenji-temple.jp)
福知山 修禅寺(@shuzenji.temple) • Instagram写真と動画
晋山式とは
令和6年6月9日に修禅寺にて晋山式が行われました。
晋山式(しんざんしき)とは、新たに就任するご住職さんが入寺する儀式で、俗世的な言い回しをすると任命式や新任式という感じでしょうか。
晋山式の「晋」という字は「進む」という意味、「山」はお寺を表すので「山に進む」つまり、新しい住職が「お寺に入る」代替わりのお披露目の祭事です。
…ということを、私は13年ぶりとなる今回の晋山式で初めて知りました!
先祖代々修禅寺の檀家なのだけど、年月を重ね子を持ち、やっとこ地域の行事や風習に目を向けるようになったということですね。
第43世吉野真常前住職のことを我が家では親しみと敬意をもってひそかに「真常さん」と呼んでいました。そして、私にとっては「山羊の住職さん」でもありました。
お寺の本堂に向かって左へ行くと「千聖の森(せんしょうのもり)」と名付けられた裏山への登り口があり、そこには山羊さん小屋が!よく子供と見に行っていました。
今はご自身のお寺に戻られた真常さんとともに暮らす山羊たち。
お世話をしている前住職のお姿と元気にまったりしている彼らを見て癒されに時々行っています。
修善寺温泉から車で10分ほどの龍泉寺はすぐそばの柱状節理の岩肌が珍しい旭滝を見て可愛い山羊たちも見れるオススメの穴場スポットです!
丸メガネ研究会~丸メガネの人物史~日本編1955年~1959年 (optomo.biz)
↑この記事を書くにあたり見つけてしまったサイトにチャーミングな真常さんのお姿が!
お稚児さんとは
ちょっと脱線しましたが、晋山式の話に戻ると….
晋山式では子供たちのお稚児(ちご)さん行列も行われました。
寺社や地域の祭礼行事で揃いの鮮やかな装束と化粧をし、練り歩く稚児行列。
行事そのものや参加する子供たちのことを「お稚児さん」と呼んでいます。お稚児さんの子供たちは平安時代を思わせる雅な装いでなんだか特別な行事感がありますね。
全くなじみのなかった方もいれば、自分もやった時のことを思い出して懐かしく思う方、親子二代で参列した方もいるのではないでしょうか?
ケガレがなく大人より神仏に近い存在の子供が参加して祭礼に貢献することで健やかな成長と守護を祈願するというような小さな子供が主役の行事です。
なるほど、うちの子の所業は神や仏に近い気まぐれなものなのだなと思うと納得(笑)
我が町のお稚児さん
修禅寺では、毎年4月21日の弘法忌春季大祭で秘仏の弘法大師像を載せた御神輿とピンクの揃いの着物がかわいい湯汲み娘たちとともに稚児たちも行列します。
春季弘法忌は、地域では春のお弘法さんと呼ばれているお祭り。
この時のお神輿は、前日に修禅寺の山院 奥の院へ担いで登って行き、当日にまた担がれて戻ってきます。
桂谷地区の1区、湯舟にある奥の院(正覚寺)は、なかなか山奥で担ぎ手さんたちも一苦労。
奥の院は、護摩堂で星祭り祈祷やヨガや音楽のイベント行われており静かな山奥の庵の素敵な佇まいです。ぜひ温泉街から足を伸ばして行ってみてください!
”私の誕生日でもある”8月21日には弘法忌秋季大祭が行われ花火もあがります。
春と夏のお弘法さんは、屋台も出るので子供の頃から毎年楽しみな行事です。
行事・祭事|修禅寺|伊豆市修善寺 (shuzenji-temple.jp)
今回はなかなか参加する機会のない晋山式のお稚児さんということで総勢60人の子供たちとその親御さんで120人!
護持会の方々(お寺の管理運営を支える檀家の組織)や職方さん(寺の修繕や維持を担う地域の職人さん)、そして、修禅寺だけでなく関係寺院の僧侶の方々も参列し、大変賑やかで豪華な行列で修善寺の温泉場を練り歩きました。
いよいよ当日
さあ、やっとレポらしいところに差し掛かって参りましょう!
今回は参加人数が多いこともあり事前の説明会の際に当日の衣装を持ち帰っており、自宅で着替えさせて修禅寺に向かいました。
着る順番さえ守れば私のような雑な性格でも着付けが難しくない衣装です。
付き添いの親たちの装いは入学式~ちょっと気合の入った参観日くらいのよそいきで。
今回は特別な祭事のため朝早い集合だったのでスーツにしましたが、来年の春のお弘法さんの稚児行列までに着付けを練習し直して、私も着物姿で参加しようと思っています!
街ナビゆるり (machinavi-yururi.com)
修禅寺に程近いの温泉場に着物・浴衣レンタル専門店があり、こちらで下駄や髪飾りなどの小物も一式借りられて着付けてもらえます。もちろん修善寺温泉ぶら~り観光散歩のときにもぜひ!(実は意外と知られざるオススメは七五三での利用!修禅寺と門前の温泉街を家族で着物を着てのお祝いは最高に映える記念間違いなし)
そして、同じく着付けを練習したい。さらに、着物を着て歩きたい。とにかく、温泉場をぶら~りしたい方。毎月21日を着物で物見遊山=着物遊山の日として開催されている着物遊山に参加してみてはいかがでしょうか?
修善寺 着物遊山Facebook
お稚児さんに変身
普段は葬儀や法事以外ではなかなか入ることのない修禅寺 慈照閣が今回の準備と控えの間でした。
着付けの修正をお願いし、頭に冠を戴き、眉間の上に位星(くらいほし)と呼ばれる黒い丸(描くだけで麻呂っぽさのでるあの二つの丸です!)を描いてもらい、口紅で目尻に赤いライン引いてもらったらお稚児スタイル完成です。
冠の効果もあってか七五三などの着物姿とはまた違った厳かで雅な雰囲気で不思議とうちの子が神がかって見え、この時点でやってよかったと思っていた親バカは私だけではなかったはず。
さあ!お稚児さん出発
控えの間となっていた修禅寺 慈照閣を出発し、山門をくぐり階段を下ります。
いつも通っている場所なのに見下ろす温泉街がすこし平安時代の街並みに…は…見えないけれど(笑)、ほんのちょっぴり新鮮でやっぱりいつもの風情のある景色です。
街道沿いには観光客の方々や地域の皆さんが「かわいいね」「素敵だよ」と声をかけてくださって嬉しく誇らしげそうな子供たち。
独鈷の湯の前を通り、桂川沿いの散策路を進み、竹林の小道へ。
温泉場の裏道へ出てグルーっと回って朱塗りの欄干が美しい虎渓橋(こけいばし、恋の橋巡りではあこがれ橋と呼ばれています)を渡ったら修禅寺に戻ります。
今度はまっすぐ本堂へ。稚児たちを待っていたお坊さんが持っていたのは境内の松の木の葉が先についている洒水枝(しゃすいし)という仏具。
葉の部分に清めの水を付けて稚児の額に触れます。
これは、子供たちの無事の成長を祈願してくれる意味合いがあるそうです。
行列のあとにはちょっとイイコト
晋山式はまだ続きますが、お稚児さんたちのお役目はこれにて終了。
控えの間に戻ります。
と、思いきや最後の大仕事「記念写真」がありまして…これが慣れない衣装を着てちょっぴり緊張して街を練り歩いてきたうちの5歳はもう冠をかぶりたくないとおかんむりで…。何とか説得してみんなと一緒に写真に納まることができました。
そして、嬉しいことに参加した記念とご褒びが!
文具や懐かしレトロなミニ玩具に修禅寺のお守りと祈願済の子供のお数珠をいただきました。さらに、このときの集合写真が後日郵送されてきました。
地域の行事に参加できたこと、頑張った子供の顔、確実にご利益ありそうなお役目感。
とてもいい記念で想い出深い一日になりました。
毎年4月21日の弘法忌春季大祭で行われるお稚児さんに参加するには、直接お寺に申し込む他に観光協会などに申込用紙が置いてあります。
また、お子さんのいるご家庭では市内の保育園やこども園、小学校から申込用紙が配布される場合があります。もちろん修禅寺の檀家でなくても市外在住の子供も参列できます!ぜひ!
行事をささえる人たち
稚児たちの後方の列には第44世熊田慧照新命住職と僧侶の方々の一団が。
列を外れてずれた冠を直していた私たちがはやく元の位置へ戻ろうと慌てていたら「いいんだよ~。一緒に歩こうか~。」と、ゆったりとした口調のにこやかなご住職さん。
声をかけていただきとっ~てもホッといたしました。優しく穏やかなお人柄を垣間を見れて、良い方が地元のお寺に入ってくださった福福とした気持ちでますますご利益ありそう感。
子供たちの準備をお手伝いくださったのはボランティア有志の女性陣の皆さん。
60人子供が集まると当然楽しくなっちゃったり飽きちゃったり慣れない空気に緊張したり。
そんな中、拡声器も駆使しながら進行や案内をし、行列中も冠や着付けの乱れに気を使ってくださり、子供たちを褒め励ましながら一緒に歩いてくださって感謝しております。
他にも護持会の方々や地域の皆さんに職方さん方(私の兄も今回は交通整備、前回は奉納の大根を持ちながら参列!)等々、バックグラウンドでも多くの方の尽力で盛大で厳かな晋山式となりました。
次の修禅寺の行事は…
こんな修禅寺に行ってみたくなったみなさん!
桜や新緑・紅葉と四季を通して境内の風景も美しい、いつ行くのもオススメな修禅寺&修善寺温泉街ですが来月8月1日には盆踊り大会が行われます。
修善寺 盆踊り|修善寺温泉イベント特設サイト – 修善寺温泉で開催されるイベントの特設サイトです (shuzenjionsen.com)
コロナ禍も経てなくなってしまいそうだった夏の風物詩のこの行事を再び盛り上げてくださっているのは、このWEBマガジン「matometo」の運営メンバーの方々。
地域に根ざしたコトづくり|コトコト企画室 (kotokoto.site)
盆踊り復活と地域行事のこれから – 湯文好日(とうぶんこうじつ)|修善寺温泉・住民発のローカル文芸マガジン (shuzenjionsen.com)
私も浴衣を引っ張り出し、なんとか着付けて家族で参加しました。
境内には昔懐かしのボットル落としや地域の子供たちによる駄菓子屋など夜店もあり、夜の修禅寺はまた格別の風情でした。
子供からお年寄りまでたくさん集まり、聞いたことのなかった音頭も見よう見まねで子供も私もノリノリで踊ってしまいました。今年は練習会から参加して盆踊ろうと思っています。
古き良き行事も新しい風の吹く行事もどちらも大事に、季節の移ろいを生活の一部として楽しんでいきたいなと思っています。
アンテナを張っていないと見逃しがちな地域の行事や住んでみないとやらない・知れない風習、まだまだたくさんあります!
地域在住ライターとしてご紹介&アーカイブしていきます。書きたい方、書いてほしい事、募集中です。