地域のアレコレ　桂谷の初午

修善寺温泉のちょっと奥の山里、桂谷地区

こんにちは初めまして

桂谷地区の色んなモノゴトを掲載せていただくことになりました梅原葉月と申します。

修善寺の温泉場から1.5 km ほど山の方に向かっていくと私が住んでいる北又という山里のエリアがあります。

修禅寺には本堂とは少し離れたところに奥の院という離れがあります。

その奥の院に向かう方向または虹の郷というレジャー施設のある山の麓が北又です。

北又は、「桂流コシヒカリ」の生産地である桂谷地区（4区）の一つになります。

「桂流コシヒカリ」は修善寺温泉にある高級旅館で提供されているお米です。

そんな観光の一端を支える北又は、山間地で田んぼや畑が多く、家々も”集落”と言った佇まいです。

そんなエリアに30うんちゃら年(年齢ぼかし表現)生まれた時から住んでいる私が、なんとなくゆる〜く田舎の山の人っぽい言い回しも混じえつつ、北又の生活をレポートしていきます。

修善寺温泉には大きく分けて、修禅寺のお寺を中心とした『観光地エリア』と私の住んでいる『里山エリア』があります。

今回は、あまり知られていない修善寺温泉でも山や田畑や渓流のある「里山の暮らし」を皆さんにご紹介していきたいと思っています。

我が里の初午お稲荷さん祭

さて、2月5日の日曜日は2月最初の初午の日でした。

初午の日とはお稲荷さん(稲荷社)へ商売繫盛や家内安全等々を祈願にお詣りしに行く古くからある行事です。

桂谷区では子供たちの初午詣りの風習が今も残っていて、敷地内や裏山にお稲荷さんを祀ってある祠がある家が何軒かあります。

稲荷神社や大きなお寺のお稲荷さんの祠に緑・黄色・赤・白・紫の五色の縦長の旗がたくさん立っているのを見たことありませんか？

お稲荷さんのお祭って何をするの？

竿を通せる耳の付いている五色の半紙を文房具店やスーパーで買ってきて「奉納 正一位稲荷大明神」と筆で書きます。

子供たちはひらがなで「おいなりさま」と書きます。「令和○○年2月初午　自分の名前」も忘れずに！(ちなみに私は奉納も年月初午も忘れ墨汁を買うのを忘れ、古くて硬い墨をすり薄墨で描いたような仕上がりに)

小学生の子供達は習字の時間や書き初めで鍛えた腕を発揮するチャンスです！

まだ字が書けない子供の親は久しぶりに筆を持って腕を振るう試練です！

さあ、当日の朝！

旗を担いで子供たちは家々を回ります。お稲荷さんのあるお家の方に旗を渡し、お参りするとちょっとしたお菓子の詰め合わせがもらえるのです。

初午の日が平日の学校がある日だったら、早起きして遅刻しないように急ぎ足で回ります。

でもお菓子がもらえること、幼なじみと色鮮やかな旗を担いで行く非日常の楽しさ、これが嬉しくて私も小さい頃に前日の準備からワクワクして、早起きも苦ではありませんでした。

お稲荷さんは身近なもの

お稲荷さんは祟られると怖い、そんなイメージがあるかと思います。
祠に置かれている稲荷神の使いである二対の狐の像もツリ目で神々しく畏怖を感じる方も多いでしょうか？
旗を持って行けば祟られないのでは？うちの地区はみんなで旗を持って行ったから守られるかな〜、なんて邪まなことを考えていた覚えがあります。
初午の行事に参加することで地域のお稲荷さんを身近なものとして感じられます。

地域行事が残っているありがたさ

近年、少子高齢化や過疎化で旗を持っていく子供が減った事もあり祠の管理の大変になってきています。
お稲荷さんの祠が別の場所や屋上などに移動されたり、祠があっても初午の旗の受け入れをやめてしまった所もあります。
普段から祠の手入れや草刈りをし供物をあげてお参りをしているお家。
初午となれば掃除をして、お稲荷さんの好物の供物（鰯とお赤飯、そしてお稲荷さんに供えると言ったらやっぱりこれ！油揚げ）の準備に余念がないお家。
旗出しに子供達が伺うと、お菓子の準備をしてあたたかく迎えてくださいます。
とても頭が下がります。

観光地エリアの温泉場では、昔はお菓子を300個用意してすっかり子供達に配り切ったそうです。
昔の子供は健脚ですから隣町までもらいに行ったなんて話もあります。

ちょっとおいでよ桂谷いいところ

温泉場からちょっと足を伸ばして、奥の院に向かう際にでも五色旗を探しながら道中の山の景色を楽しむのもいいのではないでしょうか。

桂谷地区の先には雄大な達磨山、沼津市戸田に向かうスカイラインには眺めのよい稜線遊歩道があり、ドライブやお散歩にオススメです。

観光地エリアである温泉場では、温泉民宿福井さんや修善寺温泉停留所をちょっと下った柿宇土歯医者さんの裏手で今でもお稲荷さんをやっています。
古くから伝わるこのような季節の行事や風習を後世に残していきたいですね。
今ではやめてしまった地域の方も修善寺温泉にやってきた観光客の方も一緒になって参加できるようなお稲荷さんの仕組みができないかなと思っています。