伊豆は今、花盛りです。
2月中旬から河津桜が咲き乱れ、今は梅林の梅が花盛りを迎えています。
一昨年、2021年の初春にはコロナ禍での河津桜を楽しんだ筆者。
子供たちに多少翻弄されながらも、花を愛でるという行為に目覚めた年でもありました。
あれからもう2年、私の中年度合いも深まり、今年はなんと梅林へ足をのばしてみました。
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南郷山と幕山のハイキング
ハイキングやロッククライミングで知られる幕山のふもとに約4,000本の紅白の梅が咲き乱れます。
今回は、南郷山と幕山を登りながらのお花見ハイキングです。
南郷山は幕山のお隣の山で幕山とセットで登られることが多い山なんだそう。今回は山岳ガイドの資格をお持ちのお友達に案内していただきます。
この南郷山と幕山のセット登山の醍醐味は何と言ってもきらきらと光る相模湾と真鶴半島、初島の絶景です。
この絶景に加えて、満開の4000本の梅ですから、2~3月の梅の時期は大変な人気です。
幕山のふもとの梅林をハイキングのクライマックスに持ってくるために、南郷山から登っていきます。
南郷山を登っていくと、地元のおじいさんに遭遇。
「梅を見に行くのかね?湯河原梅林は本数では関東第3位だからね」
とのこと。お山を歩いているとみなさん気軽に声をかけてくれます。
ただ、関東第3位の真偽の程は不明なので、鵜呑みにしないでください。
梅で言えば、お隣の熱海梅林が有名で、梅の名所10選にも選ばれていますが、こちらの本数は472本。
湯河原梅林は4000本ですから、10倍の差をつけてだいぶと優勢であります。
しかし、これまた近隣の小田原市の曽我梅林はなんと3万5000本の圧倒的な本数…。
みんなちがって、みんないい。金子みすゞ先生の言う通りです。どの梅林も美しいのに違いはありません。
途中で柑橘類が売っていました。
自鑑水
ハイキングコースの途中に小さな池があります。
源頼朝が石橋山の合戦に敗れた際、湯河原の英雄である土肥実平と逃れ、たどり着いた池です。
この池に映った自分のやつれた顔を見て自害をしようと決意したそうですが、自分の髪の乱れをただし、再び勇気を取り戻したとされる池なのだそう。
やつれた顔を見て、もうだめだ、と思ってから髪をただすまで、その心の移ろいが美しいエピソードです。
南郷山は、山岳ガイドのお友達曰く、ルートが面白く、景色の美しい魅力たっぷりの工程だそうです。
初心者が興味を持つのにふさわしいお山です。山の中には絶景や見どころのない修業的お山もあるそうです。
登山の世界も奥深いです。
笹の小道や突然開かれる海の景色がルートに彩を与えます。
湯河原梅林『梅の宴』
大人になったら一度は梅林に足を踏み入れてみるべきです。
幽玄の世界、といった趣です。平安貴族になったような穏やかで気高い気持ちになります。
梅の枝はまっすぐ上に伸びて、小さな花びらがほころんでいます。
桜よりも一段と深い味わいです。それは気高き穏やかな心を持った人だけが味わえる特権的で秘匿的な趣き。
4000本の梅林が古の日本にタイムスリップしたような夢見心地に誘います。
梅を褒め称える言葉が止まりません。
湯河原梅林は本数だけでなく、梅の種類も豊富です。
山岳ガイドのお友達が梅についていろいろと教えてくれました。山登りをするご婦人たちはものすごくお花に詳しい方が多いのだそう。私もいつかそうなりたいものです。将来はスミレなどに心動かされる人間になりたいです。
山岳ガイドさん:「同じ梅の木から白い花と桃色の花が同時に咲いている花があるでしょう?」
私:「あ、本当だ。ありますね」
山岳ガイドさん:「あれはね、名前が付いてるんだよ。なんだっけな。ありのまま、みたいな名前なんだよ」
私:「ありのまま、ですか」
山岳ガイドさん:「うーん、そのままとかあるがまま、みたいな感じなんだよな。思い出せないな。こんな時おばちゃんたちがいれば…」
むしろ私が花に詳しいおばちゃんだったらよかったのに…、と歯がゆい思いをしていると、
山岳ガイドさん:「思いのまま、だった!木の根元にネームプレートがあったよ」
思いのまま、は別名「輪違い(りんちがい)」とも呼ばれていて、紅と白、絞りなどを1本で咲き分けることができるのだそうです。まさに思いのまま咲き分けられるのです。
庭木や盆栽に向いているそうです。盆栽もいいですね。
ということで今回は伊豆半島からはちょっと外れてしまいましたが、お隣の湯河原梅林のご紹介でした。
最後に美しい梅林の写真でお別れです。
次週からはインタビュー記事が始まります。お楽しみに。