桜の花が満開を迎えた4月6日、山岳ガイドをお持ちのお友達からお誘い頂き、達磨山へハイキングに。
達磨山は我が家から車で15分程度。東京の人が東京タワーを登らないのと一緒です、現象で達磨山は未踏の山(この世のほとんどが未踏の山なんですけどね)。
ルートは、船原峠の登山口→伽羅山→古稀山→達磨山→金冠山→だるま山高原レストハウス。
その前の週に俳句を吟じる吟行会を開催したばかりで、せっかくだから俳句でも詠みつつ、などと思いながら登山スタート。
伊豆文学まつりのゆるほめ吟行の様子はこちらから
満開のあせび
あせびは、漢字で馬酔木と書く通り、馬や鹿など(馬鹿になっちゃった!)の草食動物が食べると酔ったようになる有毒の植物なのだそう。
葉を煎じて殺虫剤としても利用されるようです。
人口よりも鹿が多いとされている伊豆市。
そんな鹿の捕食から逃れた満開のあせびが登山ルートを彩ります。(彩ると言っても白なんですけどね)
お友達曰く、こんなにふさふさ咲くあせびはなかなか見ないそう。枝ぶりも少し大きいような。
伊豆は植生が他の地域と違うと聞いたことがありますが、あせびもちょっぴり違うのかもしれませんね。
全国の山を登りまくるお友達だから気が付く違いですね。興味深い。
マメザクラ
登山ルートには小さくてかわいい桜が咲いています。
見た目の通り普通の桜より小さいので、マメザクラと言うそうです。
マメザクラはバラ科・サクラ属の植物で、花は1~2cmほどと小ぶりです。
伊豆市でマメザクラが鑑賞できるのは、達磨山ハイキングコース(「きよせの森」、「戸田峠」、「達磨山」、「船原峠」「仁科峠」付近など)や、西伊豆スカイライン沿いで多く見られるそうです。(伊豆市観光情報サイトより)
登山のはじめに撮った写真なので、雨に濡れて、あたりも霧が立ち込めています。
独自の天気予報
その日の山の天気予報は雨。
山の天気は変わりやすい、とはよく聞きますが、その噂はどうやら本当のようです。
山の天気の予報を提供する気象予報会社は国内には2社あるそうです。
そのうちの1社である株式会社ヤマテンは国内で唯一の山岳気象に特化した天気予報サービスを提供しています。
サブスクタイプの有料サービスなのだそうですが、多くの予報サービスがコンピュータの予想計算結果から予報するのに対し、株式会社ヤマテンは気象予報士が職人芸でそれぞれの山に応じたカスタマイズで予報を作っているのだそう。
それでも予報は保守的になりがちで(人命に関わることですから当然ですよね)、登山当日も雨予報だったそう。
お友達の山岳ガイドさんのすごいところは、それぞれの天気予報を参考に、さらに自分でも天気図を読み解き、ちょっと攻めた独自の天気予報を立てるのだそう。
お友達独自の第三の天気予報では、雨はぎりぎり降らないのでは、とのことで決行。
結果、午前中は少し霧が出て、空も曇っていたものの、午後からは富士山が望めるほど天気も回復し、絶景を楽しむことができました。
登山は登る前から始まっているのですね。
森林限界
森林限界という言葉をご存知ですか?
森林限界とは、厳しい環境条件のために森林が生育できない限界線のことだそうです。
たとえば、標高が高いだとか、極端な乾燥があるだとか、寒すぎるとか。
中部山岳地域だと2,500mくらいから高い木が育たなくなる森林限界に入り、「お花畑」とも言われる高山草原帯に植生が変化します。
私が登れる低山(標高1,000m未満の山)は森林限界ではないので、高い木がわさわさした林の中を歩いていく、というイメージです。
これがどういうことか分かりますか?
登山のほとんどは薄暗い林の中を黙々と歩くという修業のような時間が多くを占め、時折、林の隙間から景色が拝めるというご褒美がある程度なのです。
ところがこの達磨山登山ルートにはほとんど高い木が生えていません。
最初から最後まで絶景が望めるというゴールデンルートなのです。
達磨山ハイキングコースは、日本各地の山を登り歩いている山岳ガイドさんが「めずらしい!すばらしい!」と太鼓判を押すほどの登山者ファーストのおもてなしルートだったのです。
山肌を背の低い熊笹がおおい、絨毯のような滑らかな稜線が続いています。
お友達曰く、海風を強く受けるために高い木が育ちにくいのかもしれない、とおっしゃっていました。
私はちらりと「まさか鹿が全部木の芽を食べちゃったんじゃ。だからあせびだけが生き残って…」と非現実的な妄想をしてみたり。
ここで一句
熊笹や 覆う稜線 春の海
熊笹が稜線を多い、見晴らしのよい遠くの景色に戸田の海が見える様子を詠みました。
スタートは船原峠からがおすすめ
山岳ガイドのお友達曰く、スタートは船原峠からがおすすめとのこと。
理由は上り坂が少なくなるから、とのこと。だるま山レストハウススタートですと上り坂が多い模様。
参考にしていただけると幸いです。
今回は、春の登山をレポートしました。
毎週末コツコツと全国の山を登っている山岳ガイドさんが太鼓判を押した絶景登山ルート。
初心者の方もご褒美満載のこの登山ルートならはじめての登山も十分楽しめるはず!
(そういえば、クロックスで達磨山を登ってきた小学生の新一年生もいましたから超初心者さんでも大丈夫なはず!)
近所にあったら毎日登りたい、と言わしめた達磨山ハイキングルート。
文字通り近所なので私もたびたび訪れたいと思います。
修善寺温泉場のむすひの熊笹タピオカドリンクがおいしいです!
全然青臭くないし甘いのにサッパリ飲めます。