「お遍路」を体験するには:知っておきたいあれこれと準備
さて、ここまで伊豆の「お遍路」の歴史を見てきましたが、実際にお遍路体験するにはどうしたらよいのでしょうか。お遍路するにあたってまず思い浮かぶのは、88ヶ所のお寺がどこにあるのか、どういう順番で回るのか、何日くらいかかるのか、必要な道具や作法はあるのか、などといった点かと思います。
{“align”:”left”,”id”:1499,”width”:293,”height”:437,–>ネットで「伊豆 お遍路」「伊豆八十八ヶ所」などと検索すれば、伊豆の「お遍路」についてのいろいろな情報が手に入ります。その中には実際にお遍路をした方の旅行記やブログなどもあり、それらは読み物としても面白いものがあります。でも、お遍路を知るためのコンサイスな情報源としては、先ほどの伊豆霊場振興会と上述の遠藤さんが運営するサイトが一番便利だと思います。
{“align”:”right”,”id”:1501,”width”:622,”height”:468,–>このサイトには伊豆の「お遍路」の由来、各寺の住所と連絡先、納経の作法、宿泊先、バスを乗り継ぐモデルルート、グッズの通販といった情報が見やすく整理されています。
以上閲覧先:伊豆88遍路 | 伊豆にもお遍路があるんです! (izu88.net) (最終閲覧日2021年5月27日)
「お遍路」の作法もサイトの中で紹介されています。それによるとお寺での流れは、大まかに以下の通りになります。
一礼して入門 ⇒ ②(あれば)手水場で手を洗い ⇒ ③(あれば)線香3本を上げる ⇒ ④ お賽銭、お札を納める ⇒ ⑤納経帳に朱印を頂き奉納料(300円)を納める ⇒ ⑥ 般若心経をその場で唱えるか、写経したものを納める ⇒ ⑦一礼して門をでる。
上の流れのうち、あまり馴染みがないのは、④の「お札(ふだ)」、そして⑥の「写経」を納めるという所作でなないでしょうか。
「お札」について
これは、「自分がお参りに来ました」という申告書のようなものです。札所(ふだしょ)とはお遍路する人が参拝するお寺の事で、1番札所、2番札所などと言います。ちなみに昔のお札は銅板や木板だったらしく、それをお寺の境内に釘で打ちつけたことから札所に行くことを「打つ」というのだそうです。「1番札所を打つ」、「順打ち」(札所番号順に回る)、「逆打ち」(逆回りをする)、「区切り打ち」(回を分けて巡る)などの用法があります。(注)
注1)そういえば童謡「通りゃんせ」の中に「この子の七つのお祝いに、お札を納めにまいります」という一節がありますが、私はこの歳になって初めてその意味を理解しました。
注2)なお、アキバ系のオタクカルチャーに、アイドル等の楽曲に乗り集団でサイリウムやペンライトを振って踊る「ヲタ芸」というジャンルがあります。このパフォーマンスを「ヲタ芸を『打つ』」、またパフォーマーのことを『打ち師』と呼びます。「推し」のアイドルや声優のライブめがけ全国隅々まで参戦してヲタ芸を打つ「巡礼」の旅…は彼らにとってまあ信仰に近い行為といってもよいのですが、お遍路との関係は全く不明です。)
「写経」について。
「写経」は今ではカルチャー講座などで書道の練習やマインドフルネスの一環でとりあつかわれることが多いですが、もともと昔からお経を書き写す行為は、心願成就をはかる信仰の一部として行われてきました。お遍路では予め写経したものをお寺に納めるか、お寺で読み上げることが作法の一部とされているようです(普通は般若心経)。いずれにせよ、お参りには(写経して納めるにせよ、その場で読むにせよ)お経が必要になるわけです。もちろん、すべて暗記して暗唱できれば何も持っていく必要はありません。
ネットで探してみたら両方ともPDF化されたものがありました。便利ですね。特に伊豆の札所に特化したお札までクリックひとつでダウンロードできるのにはいたく感動しました。
ダウンロード元:お遍路用品 巡礼用品 信頼の表装 | 札所0番 (yushodo.com) (最終閲覧日2021年5月27日)
お札は一枚づつ切り取って訪問時に納札箱(なければ賽銭箱)に入れます。ちなみにお札にある「同行二人」は、お遍路さんの旅には常に弘法大師が寄り添っている、という意味です。 お札は一枚づつ切り取って訪問時に納札箱(なければ賽銭箱)に入れます。ちなみにお札にある「同行二人」は、お遍路さんの旅には常に弘法大師が寄り添っている、という意味です。さらには伊豆霊場振興会は修善寺に札所0番という「お遍路」案内所も開設しており、現地で各種情報を提供しているということでした。
これでひととおりの予備知識と準備は完了。あとは現地を実際に訪れてWalk to Walk、 実行あるのみ!
以上、私の知る限りでの「お遍路」の知識と準備をご紹介してきました。もし間違いなどあれば教えていただければ幸いです。なお、お参りの移動方法は歩きでも、自転車でも、車でも、電車やバスを乗り継いでもOK。もちろん全部を一度に回る必要はありません。
おわりに
と、いうことで今日はこのへんで。
この記事をご覧いただいて、少しでも伊豆の「お遍路」に興味を持ってくれた方、訪れてみたいな、という方がいたならば幸いです。ぜひご一緒に参りましょう。
次回は実際に訪れてみた伊豆のお遍路の「いま」とそこから見えてくる課題、そして「これから」について皆さんと考えてみたいと思います。
http://matometo.info/archives/article/6776