三島の観光といえば三嶋大社にうなぎ、そして源兵衛川。源兵衛川は緑の木々に囲まれた清流で、川の中を散策する様子が多くの観光ガイドで紹介されていますね。今日もいずっぱこの車窓から外を眺めていたところ、源兵衛川から電車を背景に動画を撮っているYoutuberらしき方がいらっしゃいました。
そんな源兵衛川が三島の中心市街地を抜けて、最後に行き着く先がこの中郷温水池(なかざとおんすいち)です。
源兵衛川からつながっている様子が分かります。
”温水”という名前から、ひょっとして温泉?と期待される方もいるかもしれませんが…残念、違います。とは言え、水を温めるというのはその通りで、湧き出したばかりの富士山の伏流水は温度が低く稲作に使えないため、この池に一旦溜めて水温を上げてから田んぼに送るのだそうです。
池自体は昭和28年に設置されたそうですが、三島市の街づくり事業である「街中がせせらぎ事業」で90年代半ば頃から周辺の景観が整備されました。今ではのどかな親水公園として、地域住民の憩いの場となっています。
撮影に訪れた日は天候に恵まれ、とても気持ちの良い散策を楽しむことができました。
池を囲うように遊歩道が整備されており、ぐるりと一周することができます。小さいながら池の中には島もあり、遊歩道は所々島をつなぐ橋にもなっていて冒険心を駆り立ててくれます。
島を結ぶ橋。
島の木陰ではカモが気持ちよさそうに羽を休めていました。
犬の散歩にはもってこいですね。
池の北側が上流となっており、源兵衛川が国道1号線の下をくぐって流れ込んできています。既にそれなりの川幅となっており、流れは穏やかです。交通量が多く、ビュンビュン車が行き交う国道1号線とのコントラストが「街の中の自然」を感じさせてくれます。
川の流れとともにカモも橋をくぐってきました。
また、池の北西側にはささやかながら芝生広場が広がっています。こちらでピクニックをするのも気持ちよさそうですね。芝生広場に隣接する形で駐車場やトイレも整備されていました。
芝生広場。整備される前はここにお好み焼きレストランがありました。
6台分の駐車場とトイレがあります。
タイトルにもあるとおり、中郷温水池の特長は何と言っても逆さ富士が拝めることです。池の南側には、まさにここから富士山を眺めてください!という場所に展望デッキが設置されていました。
デッキから眺めた富士山。心の眼で逆さ富士を感じましょう。
残念ながら、私が撮影に訪れた際は波が立っており、綺麗な逆さ富士を拝むことはできませんでしたが、それでも水面に映り込む木々の緑は十分に癒やしの時間を与えてくれました。水面が本当に澄み切っているときには、鏡のように富士山を映し出してくれます。
木々も水面に反射し、視界いっぱいに緑が広がります。
逆さ富士、ネット検索でヒットするのは富士五湖や芦ノ湖からのものがほとんどです。それらと比べると中郷温水池は規模は小さいですし、観光地化もされていません。一方で、多くの住民が生活する町の中で、さりげなく現れる逆さ富士。日常の中で少し得した気分にさせてくれて、水だけでなく人の心も温めてくれる…そんな中郷温水池のご紹介でした。