早咲きの桜まつりや梅まつりが始まり、2025年も春の足音が聞こえる季節になってきました。そんな今年の元旦、特に毎年恒例というわけではないのですが、たまにはしかるべき場所から初日の出を拝もうと早起きして十国峠に行ってまいりました。
十国峠は駐車場から展望台に登るためのケーブルカーがあり、元旦の朝は初日の出イベントとして早朝から運転しています。しかし太陽が昇ってしまった後は展望台から下る客でケーブルカー乗り場は大行列。そんな行列に巻き込まれながら、ケーブルカー以外でも帰れれば早いのにな…なんて思っていたわけです。
そこで、ふと「十国峠はケーブルカーとは反対側の姫の沢公園からも行ける」と母が言っていたのを思い出し、ケーブルカー”じゃない方”の、姫の沢公園からアクセスするルートの調査に赴くことといたしました。

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熱海側からのアクセス
熱海…といえば温泉や海水浴場、最近では活気を取り戻した商店街やプリンなどが有名ですが、日本のモナコなどと言われるとおり(ちなみに江の島は日本のモンサンミッシェルらしい)、平野がほぼ無く急峻で山がちな地形も特徴的です。それ故、「熱海の運動部のヤツは足腰が強い」などと私が中高生の頃はもっぱらの評判でした。
そんな坂道をひたすら登って山の反対側の函南まで下りていくのが熱函道路(ねっかんどうろ)、その頂上付近にある姫の沢公園は、山の斜面一帯に広がるとても大きな公園です。公園の中にいくつかのハイキングコースがあり、それらの途中にポツポツとアスレチックが設置されています。

これらのアスレチックを本気で全クリするとなれば一日作業となることは必至。特に広大な公園の端のエリアまで抱っこが必要なちびっ子を連れて行くなどとは、ありがたい経典を受け取りに天竺まで苦行の旅をするようなもの。なので我が家では中心部のビジターセンター周辺にあるアスレチックをつまみ食いするのが定番となっています。
さて、姫の沢公園から十国峠へつながるルートは…と思ってマップを見てみると、やはり中心部からはかなり離れた「峠の広場」のエリアまで行かねばならないようです。が、さらによく見てみると「峠の駐車場」という駐車場がすぐ脇にあるではないですか!
ここに車を停めれば峠の広場で子供たちを遊ばせられるし、十国峠までも歩いていけそう…ということで、峠の駐車場を目指すことに。峠の駐車場には、どうやら熱函道路を熱海峠まで登りきってからアクセスするようです。

ということで辿り着いた峠エリアに繋がる道への分岐点。そう、ここはクルマ・バイク好きにはたまらない聖地、伊豆スカイラインの入口です。

案内板ならぬ案内岩は、同じく峠に存在するお寺とともにそれなりの存在感。しかし伊豆スカイラインの料金所を目前にして多くのドライバーやライダーは「財布!小銭!」と浮足立つ場所なのでなかなか気付かないでしょう。かくいう私も若かりし頃はバイクでよく来たものですが、こんな脇道があるとは全く気付きませんでした。
ここを左折して、いよいよ「峠の駐車場」を目指します。
姫の沢公園、峠エリア
伊豆スカイラインの料金所付近からの坂道は、まさに「これケーブルカーで登ったほうが賢いんじゃね?」と思わせるような凄まじい高低差。50ccのHONDAスーパーカブや、ターボのついていない軽自動車じゃきついだろうな…なんて思いながら登っていくと、ありました!峠の駐車場。

車を停めてさらに徒歩で少し登ると、間もなく姫の沢公園の入口に到着。すぐに開けた芝生広場となっており、展望台(正式名称は「火の見やぐら」とのこと)や子供向けの遊具が設置されていました。テーブルと椅子のセットもあり、子供連れでお弁当を食べながらピクニックするにはうってつけの広場です。

こんな広大な公園の端のエリアには誰も来ないだろうと思いきや、本格的なハイキングの装備を整えた方々がひっきりなしに通過して行きます。ひょっとしたらハイカーの方にとってはメジャーなルートなのかもしれません。

広場の最も高い位置に備え付けられた展望台からの眺望は抜群。相模湾と駿河湾を同時に見下ろせるのは当然として、遥か西の方には横浜や東京の街並みが広がり、南の方には伊豆大島をはじめとする伊豆諸島もいくつか見渡せました。

そんな感じで写真をパシャパシャ撮っていたところ、だいぶ手がかじかんできました…。天気は晴れているものの雲もそこそこあり、太陽が隠れて風が吹くとかなりの冷気を感じます。
冬は空気が乾燥していて遠方の眺めは良いのですが、800m近い標高は伊達ではないですね。夏の暑い日に避暑を兼ねて来るのもありかもしれません。

さあ、ひとしきり広場で遊んでお弁当を食べたら、いよいよ十国峠に向けて出発です。
十国峠に到着
姫の沢公園からさらにまた急な坂道を徒歩で登っていくと、まずは源実朝の歌碑がお出迎え。調べてみると、三嶋大社と伊豆山神社を参拝する際に十国峠をよく通っていたそうで。車で登ってきた身分でおこがましいですが、ふもとから徒歩で登ってきた上でこの絶景を見たら達成感もひとしおだったでしょう。


歌碑のすぐ脇には比較的新しいグランピング施設が。ウィキペディア(2025年2月現在)には「十国峠山頂駅の南には眺めの良い芝地が整備され…」とありますが、その芝地にこのグランピング施設が新しくできた様子。夜にふもとから見上げたときに、山ぎわにキラキラ光る明かりが増えたのはこの施設ができたからだったのですね。

坂道の最後にそびえる階段を登り、十国峠の展望台に到着!
あらためまして、十国峠とは箱根から天城山まで南北に伸びる山々の稜線の途中にあり、旧国名で言うところの伊豆国や相模国、遠くは安房国や遠江国など、十国を見通せるという眺望抜群の展望スポットです。

ここにはケーブルカーの駅も兼ねた特徴的な円柱形のレストハウスと、今どきのオシャレなモニュメントが並ぶ屋外の展望スペースが広がっています。インバウンドの観光客もチラホラいっらっしゃいましたが、富士山を中心とした山と海が織り成す日本らしい絶景は海外旅行の晴らしい思い出となることでしょう。

まとめ
十国峠の展望台は数年前にリニューアルされたようで、カフェやグランピングなどの新しい施設で「天空の…」というキャッチフレーズが共通的に使われておりましたが、このキャッチフレーズは秀逸です。ここは360度にわたって下界を見下ろす、まさに天空スポットです。
最後に初日の出の時の写真をいくつか。

流石に早朝なので寒さ対策万端で臨んだのですが、この日は幸運なことに無風で意外なほど寒くなく、かつ快晴であったため水平線から現れる綺麗な日の出を拝むことができました。

遅ればせながら、2025年が皆様にとっても良い年でありますように。
十国峠
〒419-0101 静岡県田方郡函南町桑原
https://www.jukkoku-cable.jp/